大阪府南東部、奈良県との境に連なる金剛山地を源流とし、河内平野に向かって流れる水域に広がる河岸段丘。いくつもの古墳が残り、古くから人の営みが続いていることが感じられる。そんな風土に建つ、4人家族のための住宅。
御主人は造園を生業としており、家の周りは先代より続く植木畑や果樹畑となっています。今後、じっくり時間をかけて畑に手を入れ、暮らしと植物が共存する、生態系豊かな森のような庭を作っていかれるとのこと。暮らしの中心に、そんな庭に繋がる土間のある住まいを考えました。
土間には家族が集える食卓を置き、その周りを包み込むようにキッチン、板張りのリビング、仕事用のワークスペース、ロフト、薪ストーブなどを配置しています。庭の風景もまた、その中のひとつとして寄り添ってくれることでしょう。
御夫婦からのリクエストのひとつだったのが、雨樋を設けないこと。また、パイプやU 字溝による雨水の排水を行わないことでした。雨は大地に浸透した上で、川や地下水に繋がるのが本来あるべき自然の姿。そんな自然の摂理に逆らわず、軒先からの雨垂れや雨音を楽しめる家にとのことでした。
軒先から落ちた雨水の処理は、作庭と共に住まい手にお任せすることになりますが、雨の吹込みや、雨落ちからの跳ね返りがあったとしても、ある程度は安心して開口部を開放できるように、また外壁を守るためにも軒を深くすることに配慮しました。