佐渡の家

所在地:新潟県佐渡市
構造規模:木造2階建
延床面積:216.54㎡(65.50坪)
竣工:2007年
施工:前田建設(担当:前田、棟梁:栄治、濱瀉)
家族構成:夫婦

佐渡島の北西岸に位置する外海府海岸。地盤の隆起と海の浸食によって創り出された独特な風景が広がっています。この美しい海の傍で暮らすことを望まれた御夫婦のための住宅。

目の前に広がる海に脈々と水を湛える近くの谷には鱒が上がり、その谷を絶やすことなく潤している深い森が背後に広がっています。しかし、豊かな自然は優しいばかりでなく、容赦なく厳しい姿を露わにします。特に冬季。すべてのものを消し去らんとするかの如く、日本海からの潮風が吹き荒れます。その強い風に対して屋根を低く抑えるために、2階部分は登梁で確保した屋根裏空間としました。1階の主な部屋は海に面しており、それぞれが外部のデッキによって繋がっています。そのデッキを介し、海との多様な対話のできる住まいを考えました。

柱や梁などの構造材、また外壁や床・天井などの板材に使用している杉とアテビ(ヒバの一種)は、御夫婦の強い希望もあり、すべて島内の山から伐り出されたものです。原木の調達からスタートし、乾燥・製材まで地元の前田建設がリードして島内のネットワークが応えて下さいました。

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外海府海岸の風景。写真中央に巨大な一枚岩の大野亀が薄っすらと望むことができる。

海側からの外観。シンプルな切妻屋根。屋根はステンレス鋼板の瓦棒葺き。屋根裏スペースへの採光のためのトップライトが並ぶ。

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玄関ポーチへのアプローチ。家への出入りを強い潮風から守るため、ポーチは窪んだスペースとしています。

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玄関土間は珪藻土のタタキ仕上げ。右側の障子を開けると海の見えるメインスペースにつながる。

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玄関土間の障子を開けるとメインスペースの吹抜けを通して2階の屋根裏スペースまでつながる。

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メインスペースの食卓から海を眺める。正面の掃き出し窓はフルオープンにすることで海との一体感を味わえる。

2階には寝室があり、冬場は薪ストーブの暖気が上がる。夏場は寝室の窓を開け、換気を行うことで家全体の排熱ができる。

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食卓と薪ストーブの奥に広がるキッチンスペース。住まい手は釣りと料理がお好きな方です。

キッチンとつながる、家電と収納のスペース。右側には冷蔵庫が並ぶ。奥の引戸でシンクのある勝手口に続き、釣ってきた魚の下ごしらえに利用できる。

階段より食卓を見下ろす。食卓は囲炉裏としても使えるようになっている。囲炉裏の炉縁は山桜。床は杉板。

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波の音が時間を忘れさせる。刻々と変化する海と空。

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壁に引き込まれていた障子を閉めると柔らかな光に包まれる。

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海側にはウッドデッキが伸びる。メインスペースの階段を上がると2階の屋根裏スペースへ。

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2階の屋根裏スペース。妻面となる両側は寝室と書斎スペースとなっている。

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2階寝室のトップライトとベッド。天井の低いところで横になるのが何とも心地よいのです。

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2階寝室より吹抜けを通してメインスペースを見下ろす。ピアノも心地よく響く空間となりました。

囲炉裏よりピアノを見る。右側は玄関土間に続く。左側の格子戸の向こうは、ゲストルーム、サニタリーに続く廊下が伸びる。

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海側のウッドデッキにつながるゲストルーム。

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浴室からも海を眺めることができる。

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手前の車庫と家を繋ぐアクセントとして、風除けを兼ねたレンガ塀を設けました。写真は職人さんがレンガの目地を仕上げているところです。