風の草刈り

真夏日となった暑い日の夕方、太陽が山に隠れてしまう頃の涼しい時間に、畑の周りの草を刈ることにしました。
草刈りは鎌を使うこともありますが、場所によってはエンジンで刃が回る刈払機を使うこともあり、この日もそんな機械を使って行いました。

先日、設計の仕事でお客様と打合せをしている時に、雑談の中で「風の草刈り」という言葉を教えていただきました。「風の草刈り」というのは、草を根本から刈ってしまうのではなく、風が吹いて葉や茎が曲がるところから上の部分だけを刈る方法とのことでした。根本から刈ってしまうと草は反発して葉を勢いよく伸ばし、根も荒く広がってしまうのですが、「風の草刈り」を行っていれば根が細くなり、葉や茎も柔らかく、そして姿が徐々におとなしくなっていくのだそうです。今まで、自然農の畑で野菜と共に草と長くお付き合いしてきた中で、何となくそういうことも心当たりがあったのですが、頭にイメージできる素敵な言葉と知恵をいただいて、これからはより一層、山や野に生える草との良い関係を見つけられそうな気がしています。そういうわけで、この日は意識して「風の草刈り」にトライしてみたのでした。

そんな中、この「風の草刈り」が幸いして、ほっと胸を撫で下ろす出来事がありました。
刈払機の刃を横に振った、そのすぐ下から子供の野兎が現れたのでした。

野兎

「風の草刈り」を行わずに根本から刈っていれば、今頃どうなっていたかと思うとドキドキしてしまいました。野兎は時に畑の野菜を食べてしまう動物ではありますが、野生の動物はただ生きるために野の草と同じように食べているだけです。上手く棲み分けられるように人間の方から考えていこう、というのが私のスタンスです。とにかく無事でよかった。この姿を見て気持ちが和まない人はいないでしょう。(笑)

「風の草刈り」はこんな風に地表にいる動物にも優しく、さらに、こぼれ種から発芽したような幼い植物にも成長できるチャンスが巡ってくるという点でとても優しい草刈りの方法だと思っています。