採蜜レポート 2017

10月に入る頃にはセイタカアワダチソウの開花が始まってしまうような気がするので、その前に採蜜を行うことにしました。ここで先に結果を申し上げるのも少々気が引けるのですが、実は今回は上手く採蜜できませんでした。ただ、これも良い経験となったようにも思いますし、レポートすることにします。

ところで、セイタカアワダチソウの開花前に採蜜を行う理由なのですが、ひとつはこの花の蜜には独特の匂いがあるため、ミツバチが巣に蜜を持ち込む前に採蜜を終わらせたいということ。もうひとつは採蜜をした後、巣には当然ながら蜜が減っているため、ミツバチは越冬のために花蜜をたくさん集めなければならないのですが、セイタカアワダチソウの開花の前だと蜜の補充に丁度良いタイミングなのです。ひとつ目の理由についての余談ですが、アメリカではゴールデンロッドハニーと呼ばれて人気があるそうです。所変われば品変わるというわけです。(笑)

さて採蜜です。まずは屋根と上蓋を取り外します。

上蓋取り外し

今回は重箱最上段の1段分を採る予定です。最上段にはスノコの天井を付けているのですが、このスノコを次に取り外します。
しかし、このまま作業を続けるとミツバチを潰してしまうこともあるため、ミツバチをスノコの下に追い込みます。追い込む方法としてはスノコを棒で叩いて音を出したり、息を強く吹きかけたりします。

下方へ追い込み

いつもなら、割とスムーズにミツバチが下に降りていくのですが、今回はなかなか降りて行ってくれず、残っているミツバチもチラホラいます。ここで何かおかしい予感がしてきます。埒が明かないので、慎重にスノコを取り外すことにしました。スノコの天井は巣としっかりくっついているので、パン切り包丁を使って切り離します。この時、ミツバチを潰してしまうことがあるのです。

スノコ天井の取り外し

いつもなら全てのミツバチが下に降りているので安心して切り離せるのですが、今回は数匹のミツバチを潰してしまったようでした。1匹でも潰してしまうとミツバチの群れは騒ぎ出してしまうのです。

さて、スノコは何とか外せたのですが、いつもならぎっしり詰まっているはずの蜜が見当たらず、巣の中はスカスカの状態・・・。

巣板の最上部

どうしたものか迷って、とりあえずこの日は作業を中止し、元に戻すことにしました。

その日の晩に考えを巡らせて、このままでは巣箱の中に余分なスペースができるため、越冬中に巣箱の中が冷えやすいのではないかと思ったのと、余分な巣はスムシ(ハチノスツヅリガ)という蛾の幼虫が付きやすいので、やはり最上段は切り離してしまおうと腹を括りました。

重箱最上部の取り外し後

翌日、同じ工程を繰り返してスノコを外し、さらに最上段をパン切り包丁で切り離しました。上の写真は重箱の2段目です。ここで、ようやく巣に蜂蜜が溜まっているのが確認できました。今後はこれが最上段になりますので、この上にスノコの天井を固定します。

ミツバチの巣では最上部に蜜の貯蔵スペースができるので、最上部から順に採蜜が可能な重箱式巣箱を、我が家では使用しています。蜜の貯蔵スペースの下には育児を行うスペースがあるため、おそらく2段目の重箱を切り離すと幼虫やサナギが現れてしまうことになるでしょう。貯蔵される蜜の量が増えると巣も大きくなり、育児のスペースだったところは貯蔵用に明け渡されていくようです。それに伴って育児スペースは徐々に下に降りていくことになります。幼虫やサナギを傷つけることなく、また蜜もいくらかは巣に残しておいて、ミツバチになるべくダメージを与えない方法として重箱式が広まっています。

さて、スノコの天井は新しいものに取り換えることにしました。

新しいスノコ天井設置

あとは、上蓋と屋根を設置して終了です。

一段低くなった巣箱

一段低くなった巣箱の全景。
このタイミングで最下段に空の重箱を追加する場合もあるのですが、しばらく巣の成長具合を見てから行うことにします。

取り外した重箱最上段

切り離した方の巣板です。こちらにも少しは蜂蜜が入ってそうです。ミツバチが寄ってくるので大きめのタッパーに入れ、蓋をして家に持ち帰りますが、悲しいかな非常に軽い・・・。
本来なら、垂れ落ちてくる綺麗な蜜をまず採るのですが、今回はいきなり絞ってしまいました。それでも、1リットルの瓶に満たない量しかありませんでした。

絞る前の巣板

蜂蜜の入った巣房には蜜蝋で蓋がされています。写真の手前は、その蓋を包丁で切り落とした巣板で、蜜を絞る直前のものです。奥のものは、蜜の入っていなかった空の巣板です。絞ったあとの巣や空の巣板は冷蔵庫で保存して、冬場に薪ストーブで沸かしたお湯を使いながら蜜蝋を精製する予定です。ロウソクにして使えば、甘い蜂蜜の香りのするアロマキャンドルになりますし、温めた植物油に蜜蝋を溶かすことで、ハンドクリームやリップクリーム、無垢の床板などに塗る蜜蝋ワックスとしても利用することができるのです。

空っぽの巣板

空っぽの巣板。とっても綺麗です。

今回は少し残念な結果となってしまいましたが、農的な山暮らしにはこんな想定外がつきものです。
畑に鹿が入ってしまたり、蛇にヒヨコが襲われてしまったり、イノシシが裏山を崩したり、天候不良で野菜がうまく育たなかったり・・・、例を挙げればキリがありません。しかし、そういったことは自然の中では当たり前なのですね。そういう状況でも知恵を用いて対処することは可能だと思いますし、計画していた結果を執拗に求めるのではなくて、想定外の状況も楽しんでしまえるくらいの器量のある方が山暮らしには良さそうな気がしています。サウイフモノニ、ワタシハナリタイ。